座礁・混獲した鯨類への対処法 
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5 座礁・混獲した鯨類への対処法

 前記「3.生存の確認」により,座礁・混獲鯨類の「生存」の確認ができない場合(実質的には死亡していると考えられる場合)は,以下の措置をとるよう努力する。

5−1.海岸に座礁している場合

各都道府県または市町村の水産担当部署に連絡するとともに,付録1に掲げた 問い合わせ先が近隣にある場合には,まず座礁鯨類に関する情報を伝えて,そ の指示にしたがう。場合によって,専門家が派遣されてくることがある。

専門家が派遣されてこない場合には,図鑑,ポスター,鯨種判定カード等によ り,クジラやイルカの種を判定する。もし可能であれば,頭部,腹部(性別が わかる)および全身(その他特徴のある部位)の写真撮影や体長の測定,性別の判定を行う(付録2も参照)。死体は病原菌に感染しているかもしれないので,素手でむやみに触れない方がよい(とくに腐敗がすすんでいる場合)。なお,人間が近寄ることが困難な場所であれば,動物をそのまま放置するしかない。

専門家と連絡がとれる場合には,その指示にしたがって,計測や必要な試料の 採取を行う。

小型鯨類の場合には,海岸にスコップ等で穴を掘って死体を埋めるか,焼却処 分とする。

中〜大型鯨類では,ブルドーザーやパワーショベルなどの大型重機が使用でき る場合には,それらを使用して海岸に穴を掘り,そこに死体を埋める。それが 不可能な場合は,焼却処分とする。

6.報告」にしたがって関係機関に座礁鯨類の処理について報告する。

ハクジラとヒゲクジラの外部形態


5−2.河口や漁港内を漂流している場合

各都道府県または市町村の水産担当部署に連絡するとともに,付録1にあげた 問い合わせ先が近隣にある場合には,まず座礁鯨類に関する情報を伝えて,そ の指示にしたがう。場合によって,専門家が派遣されてくることがある。

専門家が派遣されてこない場合には,死体の尾柄部にロープやワイヤー等をま きつけ,港や海岸に船で曳航・回収する。

死体について,図鑑やポスター等により,鯨種を判定する。もし可能であれば ,頭部,腹部および全身(その他特徴のある部位)の写真撮影や体長の測定, 性別の判定を行う。死体は病原菌に感染しているかもしれないので,死体には必要以上に触れない方がよい(とくに腐敗がすすんでいる場合)。

専門家と連絡がとれる場合には,その指示にしたがって必要な計測や試料の採 取を行う。

小型鯨類の場合には,海岸にスコップ等で穴を掘って死体を埋めるか焼却処分 とする。

中〜大型鯨類では,ブルドーザーやパワーショベルなどの大型重機が使用でき る場合には,それらを使用して海岸に穴を掘り,そこに死体を埋める。それが 不可能な場合は,焼却処分とする。

6.報告」にしたがって関係機関に座礁鯨類の処理についての報告をする。

尾にロープをかけて陸にあげられたクジラ


5−3.定置網に混獲された場合

 以下の手順で作業を行う。

1連絡
各都道府県または市町村の水産担当部署に連絡するとともに,付録1にあげ た問い合わせ先が近隣にある場合には,まず混獲鯨類に関する情報(場所, 動物の頭数・大きさなど)を伝えて,その指示にしたがう。場合によって,専門家が派遣されてくることがある。

2状況判断

専門家が派遣されてこない場合には,配布されている図鑑,ポスター,鯨種 判定カード等により,種を判定する。
可能であれば,混獲の状況(動物だけではなく,周囲も含めて)を示す写真 撮影を行う。
死体の回収作業ができるかどうか,気象,海況,人員,器材等の確認を行う 。


3死体回収
死体は,小型鯨類の場合には手や手鈎等で持ち上げるなどして船上に回収す る。
腐敗がひどいなどの理由,あるいは中〜大型鯨類の場合で,船上への回収が 困難な場合は,尾柄部(尾)にロープ,ワイヤーなどを巻きつけ,船で港ま で曳航する。
死体が網に絡まっている場合は,損傷ができるだけ少なくなるような方法で 網を開くか切って死体を回収する。
船上への揚収あるいは陸地への曳航が難しく,死体の回収ができない場合に は,死体を海中へ沈下させる(投棄する)しかない。この場合,できるだけ 体壁を開放するとともに,錘をつけるなど,再発見されたときに識別できるような工夫をするとよい。


4死体回収後の措置
死体は,専門家と連絡がとれる場合には,その指示にしたがって必要なデー タの収集や試料の採取を行う。
比較的簡単に調べられる項目としては以下のものがある。

写真撮影  全身,頭部,腹部,その他特徴のある部位。

クジラの体調測定法


5死体の処理

小型鯨類の場合には,海岸にスコップ等で穴を掘って死体を埋めるか,焼却 処分とする。
中〜大型鯨類については,ブルドーザーやパワーショベルなどの大型重機が 使用できる場合には,それらを使用して海岸に穴を掘り,そこに死体を埋め る。それが不可能な場合は,焼却処分とする。
なお,例外的に食用に供する場合は,衛生面に充分に配慮する必要がある( 水産庁の通達参照)。


6報告
6.報告」にしたがい,関係諸機関に混獲鯨類の発見とその処理について報告する 。


5−4。定置網以外の漁具に混獲された場合

1死体の回収

刺し網等,定置網以外の漁具によって沖合で鯨類が混獲され,かつそれが死 亡している場合には,陸地に曳航し,各都道府県または市町村の水産担当部 署に連絡するとともに,関係機関に連絡して,その指示を受ける。

2死体回収後の措置
専門家の指示が得られない場合には,図鑑等で鯨種の判定を行い,「6.報告」および付録1によって報告を行う。
死体は,5-3-4と同様な措置をしたあと,5-3-5にしたがって埋設あるいは 焼却などの処理をする。


3死体回収が無理な場合の措置

鯨体が大きすぎるなどの理由で,死体を港まで回収・曳航できない場合には ,現場で鯨種の確認をし(困難であれば,体の特徴や大きさなどをメモして おく),「6.報告」によって報告する。

クジラの死体の処理方法

付録2