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IWC条約を愚弄する輩

もう大規模な捕鯨はあり得ない
まずRMSの完成を

 捕鯨業界も、反捕鯨団体に対抗する形で、色々な広報活動を行い、かなりの成功を収めてきた。その努力は賞賛にも値するが、やや単純に過ぎ、大衆の広範な支持を得るまでには至らなかった。科学的には正しくとも、乱獲された特定鯨種を保護するということでは、鯨を守れというスローガンに比べ大衆に対するアピール度で劣る。鯨を守れというスローガンには、すぐに動物権論者が飛びついた。彼等は反捕鯨グループの中でも、少数派に属していたが、たちまち、反捕鯨運動をハイジャックし、大衆に、すべての鯨種が、今、絶滅に瀕しつつあるとする錯覚を植えつけ、巨大な大衆支持をとりつけた。政治家も、そうなるとあわてて、反捕鯨運動の旗振りとなり、運動は更に拡大した。
 1970年代に入ると、廉価な鯨油代替品が登場し、そのため、大部分の捕鯨企業は破産の危機に襲われ、豪州、ブラジル、フランス、ドイツ、英国、オランダ、ペルー、スペイン、米国などの小規模捕鯨は、次々と倒産した。
 捕鯨産業が消失すれば、反捕鯨運動家のデマ宣伝に抗議する者も、捕鯨に肩入れする選挙民も消失する。政治家からみれば、こうして、反捕鯨は、政治コストなしの恰好のスローガンとなったわけで、これらの国は、次々と反捕鯨国に転向した。転向することにより、環境派としてのイメージを振りまき、しかも、そのことによるコスト(国内産業界や労働界の利益との衝突)もない。結構づくめの反捕鯨転向なのである。
 米国でも、民主、共和両党は、いまだに反捕鯨のポーズをとりたがる。1996年6月、米下院の資源管理委員会は、マカー族による捕鯨再開を阻止すべきであるとする決議を全会一致で採択した。この委員会は、捕鯨以外では、環境問題に余り熱心ではない。とくに、決議の主唱者であるジャック・メトカーフ議員(ワシントン州選出、共和党)は、シアトル・タイムズ紙上、国会における投票ぶりにおいてグリーン度最低とされた政治家である。
 又、昨年5月、上院は、地球温暖化条約の京都合意につき、審議すら拒否するという決定を下しながら、その直後、捕鯨問題については、その再開に反対を続けるとする決議を全会一致で採択している。

―― 問題解決には――

 反捕鯨国は、捕鯨反対につき、目的のために手段を選ばないとする無法乱暴を続けているが、それは同時に、将来の環境立法のための国際協力を破壊する種を蒔きつつあるということでもある。
 今、世界には、地球温暖化、淡水の過剰利用、酸性雨、漁業における乱獲、外来種による生態系破壊など国際的協力を要する環境問題が山積しつつあるが、問題解決には、世界的な合意とそのための一定の妥協が必要である。しかも、妥協は、富む国より貧しい国に一層の苦難を強いる。開発途上国が温室効果ガス排出協定の調印に躊躇するのは、正にそうした理由であるが、それにしても、双方の妥協は必要であり、又、合意した妥協は、誠意をもって実行されなければならない。
 しかし、西側諸国は、IWCにおいて、過去の合意を公然と蹂躪しつつあるのであって、こうした無体を人前で派手に繰り返しながら、他の環境問題で、新しい合意を他国に求めても、説得力はない。

―― IWCの存在――

 反捕鯨の不法行為により、IWCは急速にその存在意義を喪失しつつある。日本、ノルウェー等は、IWCを科学とは無関係な環境ジェスチャー会議と断じ、IWCの政治的決定を条約の規定を使って、拒否している。カナダ、アイスランドは、IWCを既に脱退した。現在、世界の捕鯨のほとんど全ては、IWC非加盟国が一般国際法に基づいて行うか、加盟国が拘束力を持たないIWC決定を無視して行うかの何れかの形をとっている。後者にあたる日本とノルウェーの捕鯨は、その捕獲を資源の持続的生産水準を下回る範囲にとどめている。しかし、国際環境機関の中でも模範的立場にあるべきIWCが、自らを政治化して、無意味な存在と化したことは、第三者としても看過できない問題点を含む。しかも、抑制された捕鯨を認めつつ、鯨資源を守り、それにより、IWCを正常化するための手段は、既にIWC内に存在する。RMS(改訂管理制度)がそれである。この制度は、92年、豪が提案し、米国を含む5か国が賛成票を投じた。この制度は、RMP(改訂管理方式)に、国際監視員制度などの諸措置を組み合わせたものであり、これを適用する限り、鯨資源にいっさいの危険はない。又、この制度の下では、もう大規模な捕鯨はあり得ない。経済的にも生物学的にも、又、社会的にも成立し得ないのである。又、廉価な鯨油代替品の出現により、既に鯨油市場は消失した。鯨肉市場も限定されている。鯨資源の年増加量は少ないので、RMPの与える捕獲可能量は少なく、大規模な捕鯨が出現する可能性はほとんどない。又、世界の大衆、政治家の間に、生態系を大切にするという思想が、これほどまでに定着した今日、かつて行われてきたような乱獲が繰り返されることはあり得なくなった。何より、こうした世界の意織の変革が、乱獲防止の最大の防波堤となっているのである。
 反捕鯨論者は、それでも、かつてのソ連南氷洋捕鯨で繰り返された違法操業を取り上げ、捕鯨国を信頼できない以上、再開は許せないと主張する。しかし、こうした違反操業は、国際監視員制度導入以前の遠い昔の話である。
 近年では、東太平洋熱帯水域におけるイルカの混獲規制や北太平洋米国水域内における漁業規則に、国際監視員制度が導入され、他の取締措置の併用と相まって、大きな成果をあげている。又、北西大西洋では、関係4か国がIWCの外ではあるが、独自の国際監視員制度を発足させた。しかし、IWCにおける国際監視員制度の審議は、これまで、遅々として進歩しない。
 遅延の原因は明らかで、反捕鯨国がこれの完成を、捕鯨再開への道の一里塚と考え、その審議の進展を妨害しているからである。

RMP(改訂管理方式)とRMS(改訂管理制度)
 1975 年から捕獲枠の計算に採用されてきた新管理方式(NMP)には、多くの科学的情報が要求されることから、1982年に商業捕鯨モラトリアムが採択されるに当たっては、これらの情報の不確実性が根拠とされました。
 そこでNMPに代わる改訂管理方式(RMP)は、過去の捕獲頭数と最近の資源量推定値さえ分かっていれば、諸々の不確実性の下でも、極めて安全な捕獲枠が算出できるように設計され、1992年に完成しました。
 またこのRMPに基づき、IWC科学委員会で南極海ミンク鯨の捕獲枠を試算したところ、資源に何ら悪影響を及ぼすことなく、100年間に20万頭(1年当たり2,000頭)の捕獲が可能であるとの結果が得られました。
 しかし捕鯨の再開にはさらに、RMPに運営面の規定を加えた改訂管理制度(RMS)の完成が求められており、完成まで監視取締制度を残すだけとなっています。


―― 妥協こそ必要――

 IWCを崩壊から救うための第一歩は、先ず、RMS(改訂管理制度)の完成と即時全面適用である。それにより、IWCが無意味なジェスチャー・ゲームに終止符を打てば、IWC非加盟国も加盟を考えよう。そして、彼等の加盟が実現すれば、史上初めて、世界の捕鯨が、科学に根拠を置く国際規制制度の下に服することになるのである。又、それにより初めて、経済、文化、環境を異にする国々が、共通の環境目標の下に結束し、かつ、必要な妥協を行うという国際慣行が生まれることになる。こうした国際協力と妥協こそ、今、世界で最も必要なものではないか。

(注) 本文中の写真・図表は、すべて編集者が参考までに挿入したもので、「アトランティック・マンスリー」の原文には掲載されておりません。

翻訳文の発刊に同意を頂いた
著者各位に深く感謝致します。


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