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捕鯨に関する決議・宣言


伝統捕鯨に関する太地宣言

<前文>

  平成18年(2006年)4月23日(日)、「第5回日本伝統捕鯨地域サミット」が和歌山県太地町で開催され、伝統捕鯨地域をはじめ、日本各地から多くの人たちが参加しました。

太地町は,「日本捕鯨発祥の地」と呼ばれ,長い捕鯨の歴史を有している町です。慶長11年(1606年)には鯨組が結成され,日本で初めて大規模な組織的捕鯨が始まりました。その後延宝3年(1675年),鯨方の和田頼治が「網捕り法」を開発し,太地の鯨組による捕鯨は江戸時代を通じて発展しました。この捕鯨は,主にセミ鯨を対象とし,ごく沿岸にまで回遊してくるのを待って捕る持続的な捕鯨でした。しかし,江戸末期になると,アメリカの捕鯨船が日本近海に進出し,沖合で鯨を乱獲して資源の減少をもたらし,太地の鯨組による操業機会は減ってしまいました。鯨組による捕鯨が終焉を迎えたのは,明治11年(1878年)12月,「大セミ流れ」と呼ばれる大遭難事件の時です。しかし,捕鯨の歴史は絶えることなく受け継がれ,ゴンドウ鯨を対象とした沿岸捕鯨が始まり,また新たに始まった南氷洋捕鯨に活路を見出しました人々もいました。現在太地町では,鯨類を対象として小型捕鯨業,追い込み漁,突棒漁業の3種類の漁業がおこなわれており,本年は太地において産業としての捕鯨が開始されてから400年目の節目の年であります。今般,第5回の日本伝統捕鯨地域サミットが開催され,日本伝統捕鯨地域サミットを締めくくることができましたことは,誠に慶ばしい限りです。

日本伝統捕鯨地域サミットは,平成14年(2002年),山口県長門市での第1回を皮切りに,毎年一度,捕鯨に縁の深い場所で開催され,伝統捕鯨とそれに根ざした地域の生活・風土について学ぶよい機会を提供してきました。第1回の長門サミットで日本の伝統捕鯨を全般的に俯瞰した後,第2回の生月サミットにおいては「縄文・弥生時代の捕鯨」,第3回の室戸では「近世の捕鯨」,そして第4回の下関サミットでは「南氷洋捕鯨」に特に焦点をあてました。また各サミットで採択された宣言は,国際捕鯨委員会(IWC)の年次総会において毎年報告され,日本における捕鯨の重要性を強く訴えて参りました。

今回のサミットでは,日本の捕鯨のルーツたる太地町において,以下のとおり,捕鯨を核にした街づくりを推進していることを確認しました。
 
△ 地域ぐるみで捕鯨を推進し,全ての住民が利益を得るような捕鯨のあり方を追求。
 
△ 消費的利用(小型捕鯨業,追い込み漁,突棒漁業)と非消費的利用(ホエールウォッチング,水族館へのイルカの提供,イルカセラピー)の双方が対立することなく共存。
 
△ 太地のみならず日本各地の学校給食において鯨食(文化)を復活させるべく,その推進役を担当。

今回のサミットでは,太地町の取り組みを確認し,また,これまでの総括を行ったうえ,その知識と議論の成果に基づき,将来に向けての捕鯨像を探る議論を行いました。その結果,参加者は「捕鯨新時代」の構築に向けて,以下のことが大切であると認識しました。
 
● 捕鯨の将来を考える際には,人間と自然や生き物とのかかわり方・倫理を,以下の点に留意して捉える必要があります。
 
△ 既存のIWCの捕鯨政策(捕獲枠設定やモラトリアム等)には人間への配慮が欠けていること。
 
△ 環境政策を行う上では,人間を生態系の外に置いて人間対自然という対立構造で考えるのではなく,人間を含んだ上での持続性を考えなければならないこと。その際,人間の手が加わって生まれた里山という日本独自の発想には学ぶべきことが多く,そこでは人間の生活と自然とが切り離されておらず,つながりを保つことで持続性を達成していること。
 
△ 世界の人口増加と動物性タンパク質の自給の必要性にかんがみ,特定の生物の利用を非科学的理由から否定するべきではないこと。捕鯨は,農業や畜産と比較して環境負荷の小さい食料生産方法であり,現在も将来も,必要不可欠なものであること。
 
△ 食の多様性,文化の多様性,環境の多様性は密接につながっていること。
 
△ 生き物が他の生き物を殺し,その犠牲の上で生きていることは,地球全体のバランスの中で,善悪を超えた必然であること。
 
△ 日本の捕鯨においては,生き物を殺すことに伴う心の痛みを正面から見据え,「無益な殺生を避け」,鯨体を完全利用し,鯨墓などを建立することによって鯨に感謝し,供養することによって心の痛みを昇華してきたこと。動物を家畜と野生動物とに区別し,前者は殺してよいとしながら,後者の捕殺を否定するのは,特定の国や文化のみを中心に据えた差別にすぎないこと。
 
△ 特定のクジラに名前を付けて「個体」レベルで取り扱うことにより捕鯨を残酷であると糾弾する一方で,増えすぎた他の野生動物(カンガルー,鹿,ラクダ等)については「種」レベルで取り扱うことで,種の保存のための間引きを容認するという行為は,不公正(アンフェァ)なダブルスタンダードであること。
 
● 既存のIWCの捕鯨政策の下では,小型捕鯨業者やイルカ漁業者には「捕鯨新時代」の到来に向けての明るい展望が見出せないことから,日本政府の英断が期待されること。

<主文>

以上に鑑み,平成18年(2006年)4月23日,和歌山県太地町における「第5回日本伝統捕鯨地域サミット」に集った私たちは,捕鯨は決して過去のものではなく,将来の生物資源の持続的利用の実現の鍵を握る活動であるとの認識を強く確認し,次のように宣言します。

    <「捕鯨新時代」の創造>

  1. 「捕鯨新時代」を共に創造し,世界に範を示して行くことを誓います。
     
  2. 「捕鯨新時代」は,第一に,日本捕鯨の伝統を礎とし,それをさらに発展させるものでなければなりません。
     
    (ア)鯨体の完全利用という日本捕鯨の真髄は,世界に誇るべき伝統です。
     
    (イ)捕鯨の貴重な専門知識や技術の伝承に努めます。
     
    (ウ)日本各地の多様な捕鯨文化を過去のものとはせず,日々の生活に生かし,将来の世代へ引き継いでいきます。
     
  3. 「捕鯨新時代」は,第二に,持続可能な利用の原則に基づいていなければなりません。
     
    (ア)保護と利用のバランスをとります。
     
    (イ)伝統的な知恵や科学に基づいた管理を行います。
     
    (ウ)鯨類だけではなく,他の生物との関わりも含めた管理(生態系一括管理)を確立することを目指します。
     
  4. 「捕鯨新時代」においては,第三に,あらためて人間と動物との関わりを再考し,捕鯨の倫理を確立しなければなりません。鯨という野生動物を利用することの正当性を,環境倫理と生命倫理の両方の観点から積極的に主張して参ります。
  5. <地域の核としての捕鯨>

  6. 太地町における,捕鯨を核とした町の将来設計への努力を賞賛すると共に,他地域でも同様の動きが広まることを期待します。
     
  7. 小型捕鯨業やイルカ漁業が将来にわたって持続的な操業を続け,地域社会に貢献することを期待します。
     
  8. 日本沿岸における持続的捕鯨を,否定し続けるIWCの政策が修正されることに期待します。また必要に応じて,日本政府がIWCの保護に偏りすぎた政策と袂を分かち,英断をもって持続的捕鯨を推進することを期待します。
  9. <過去のサミット宣言の再確認>

  10. 以下の第1回〜4回日本伝統捕鯨地域サミットが採択した宣言(平成14年(2002年)の「伝統捕鯨に関する長門宣言」 ,平成15年(2003年)の「伝統捕鯨に関する生月宣言」,平成16年(2004年)の「伝統捕鯨に関する室戸宣言」,そして 平成17年(2005年)「伝統捕鯨に関する下関宣言」 )を支持し,その内容を改めて強調します。

(以上)

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